心臓病胎児診断技術を目的とした胎児心エコーセミナー

ご挨拶

 神奈川胎児エコー研究会(kfem)は2003年から2019年まで合計71回のセミナーを開催させていただきました。当初は神奈川県立こども医療センターの旧講堂に20人ほどが集まり小さな勉強会としてスタートしました。その後、臨床検査技師、産婦人科医、小児科医らからなる世話人会が発足し、年に4-6回のペースで継続的に開催され、会を重ねるたびに参加人数が急速に増えていきました。また、北海道や沖縄などから遠路はるばる参加される方々の労に報いるために遠隔配信を始めましたが、順調に遠隔会場数が増え、やがて全国的な研究会に発展していきました。そして、高度な学術研究の目的で全国に張り巡らされたScience Information Network(SINET)の回線を使わせていただき、情報学研究所(NII)のご協力を得、一ツ橋講堂をお借りしてアドバンス講座を合計7回開催することができました。これまで開催した71回のセミナーには延べ2万人以上もの方々に参加していただきました。

 2003年以前の日本では、単心室疾患の多くが胎児診断されることなく、出生後に診断されていました。しかし、この20年間に、先天性心疾患の胎児診断率が急速に向上しました。そして今や、ほとんどの重症心疾患が通常の妊婦検診の中で発見され、正確に出生前診断されるようになりました。このような劇的な胎児診断率向上に我々のセミナーが果たした役割も大きかったのではないかと自負しています。

 我々が遠隔セミナーを始めた当初は、遠隔システム自体は非常にもの珍しい試みでした。しかし、その後の機器の進歩、ネットワークのひろがりにより、遠隔システムは生活の中に急速に普及していきました。そして、コロナ感染の蔓延により大人数が参加する研究会、学会、セミナーが軒並み中止に追い込まれている昨今では、本システムが切り札として脚光を浴びるようになっています。時代に先駆けて我々がまいた種がしっかり根付き、成長し、やっと時代が我々に追い付いてきたのではないかと思います。

 今回諸般の事情により、いったんkfemの幕を下ろすことになりました。これまで支えていただいた方々にこの場を借りて深くお礼を申し上げます。近い将来別の形で、胎児診断の発展に貢献したいと考えております。よろしくお願い申し上げます。

新 川瀧ホームページ:http://ferm.kenkyuukai.jp/

令和2年3月吉日
神奈川胎児エコー研究会
代表 川滝元良
世話人代表 辻村久美子

お知らせ/新着情報

胎児心エコーセミナー遠隔配信の活動

心臓病胎児診断症例報告会とは
胎児診断から出生後の治療経過までをふりかえり、より質の高い医療を目指すことを目的に2ヵ月に1回行われています。
神奈川胎児エコー研究会とは
胎児超音波検査について幅広く勉強する機会を持つことを目的として、
2003年3月に発足した会です。
これまで2~3ヵ月に1回のペースで行われています。